NUMBER

03

TITLE

野菜のいのち

花も、実も、
葉も、茎も、根も、
野菜が新しい種をつくるためにある。

種から、種へ。

ここに展示しているのは、収穫で終わらず、枯れるまで見守って種を採り、またその種を蒔く、そんな昔からの農業を営む農家の畑から生まれた「野菜のいのち」の姿です。

野菜も、花を咲かせて、枯れ、さやが膨らみ種をつくります。種を守るために折れることのない茎、種を育てるために栄養を注ぎきって横たわる実、そして、生まれた種がまた成長して花を咲かせる・・・いのちが本来持っている力を 未来へつむぐことで私たちはいのちをいただくことができます。

この展示から野菜の花が咲き誇る美しい畑の風景を想像できたら、あなたの食卓が少し違って見えるかもしれません。

ここに展示しているものはすべて、長崎県雲仙市の岩﨑政利さんという一人の農家の野菜畑から一年の営みの中で生まれたものです。

大量に育てることができるように品種改良された野菜の陰で、数え切れないほどの美味しい在来種が姿を消していきました。一度消えた種は、もう戻りません。そんな中、岩崎さんは「種をつなぐ」ことを選びました。それが、とても手間のかかる農業であっても。それが、誰の目にも留まらなくても。

ご夫婦たった二人で78種類もの野菜を育てています。78種類の野菜が持つ、78の個性を理解し、収穫して終わるのでなく、枯れて種を採るまで作物と向き合います。100年先の未来の、食文化の多様性を守るために。

野菜の花は、会期中の半年間、雲仙の野菜畑から、その時々に咲いたものを展示してゆきます。季節ごとの変化をぜひお楽しみください。

Collaboration
展示監修:奥津爾(オーガニックベース代表、オーガニック直売所タネト運営)
野菜提供:岩崎政利(種をあやす農家)

音声ガイドナレーター:宇賀なつみ